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宇宙に置いた装置の99.99%は、何の確率なのか
宇宙兵器のニュースから派生した、待機・故障・観測と信頼性の問い。SFのリアリティを支える条件を考える。
宇宙に装置を置いて、長く待たせ、必要なときに99.99%の確率で動かす。そんなことは可能なんだろうか。
宇宙兵器をめぐる報道から気になったのは、作動する一瞬より、その前の待ち時間だった。ここでは兵器の構成や性能ではなく、一般的な宇宙機・観測装置の信頼性と、SFでの描き方を考える。99.99%は実在装備の公表値ではなく、問いのために置いた数字だ。
「ほぼ確実」を、百個並べてみる
一つの機能が成功する確率を とする。同条件で独立な100回がすべて成功する確率は、
で、約99.005%になる。一回の数字をそのまま全体の数字として読めない。
また、独立した五段階がすべて必要で、各段階の成功確率が0.999なら、全体は 、約99.501%だ。いずれも架空の計算例で、実在装置の故障データではない。
直列に必要な条件が増えると、全体の成功確率は積になる。ただし独立でなければ単純な積にはできず、条件付き確率で扱う必要がある。共通の環境やソフトウェアに依存する装置を、別々の試行として数えるのは早い。
では、その数字をどう確かめたと言えるのか
一般的な試験の思考実験として、同じ条件の独立な試行を 回実施し、故障がゼロだったとする。故障確率を とすれば、ゼロ故障を見る確率は 。
片側95%の二項分布による上限を求めるなら、
となる。これが 以下になるには、
つまり少なくとも29,956回のゼロ故障試行が必要になる。この値は明示した統計モデルからの計算で、宇宙装置の認証要件ではない。
数式で一桁増やすのは簡単だけれど、その桁を裏付ける観測は急に重くなる。さらに29,956回あっても、全部が同じ試験条件なら、その外側の環境を検証したことにはならない。
待機と作動を、別の条件にする
待機時間を 年、待機後に健全である事象を 、要求された動作が成功する事象を とする。「健全な状態であることが成功に必要」と定義するなら、
と分けられる。試験台での一回の作動は、右側の後半だけを見ているかもしれない。長期待機した後の状態が変わるなら、同じ一回でも条件が違う。
ここで知りたくなるのは、正常表示を返していることと、必要な機能が残っていることの関係だ。ソフトウェアのヘルスチェックに似ているが、現地で再起動や交換ができない装置では、観測が増えても選べる対処は限られる。
SFなら、何を知らないまま決めるか
創作の条件として面白いのは、装置が突然都合よく壊れることより、登場人物が試験の限界を知っている状況だ。
| 条件 | 登場人物に残る判断 |
|---|---|
| 同じ環境でしか試験していない | 新しい環境でも数字を使うか |
| 確認そのものが資源を使う | 今調べるか、残しておくか |
| 正常表示が機能の一部しか見ない | 見えていない部分をどう扱うか |
| 現地修理ができない | 異常を知った後に何を選べるか |
実機でもこの確率を置けるのかは、試験条件や観測期間による。長く待った後の一回と、同じ条件で繰り返す一回を、どう数え分けるのだろう。成功率の数字を見るときは、その分母の作り方まで気になってくる。
数理的にリアルな物語は、数字を細かく並べることではなく、その数字が何を保証していないかを、登場人物も抱えている物語なのかもしれない。
Sources
- 数値は本ノートで設定した独立試行の例から算出。外部の装備仕様や実績値は使用していない。
- 数値例は仮定に基づく計算で、実機の性能を示すものではない。
- 作成日:2026-09-16 JST。
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