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車やテントを消した地形は、観測なのか推定なのか

LiDAR点群から裸地形を作るとき、実測された地面と、分類・補間で作られた地面を分けて考える。

上空から地形を測って、木に隠れた古墳を見つける。そう聞いて、まず気になったのが都市のほうだった。車や人はどう消すんだろう。テントやタープだったら、その下の地面まで見えるのか。

調べてみると、「邪魔な点を取り除く」と「下にあった地面を知る」の間に、かなり大きな違いがあった。

消したところには、測っていない場所が残る

USGSの用語集では、点群のclassificationは、反射点を地面、植生、建物などへ区別する処理として説明される。NOAAのデータセット説明には、地表に当たった点を識別し、その間を補間して裸地形モデルを作るとある。

つまり、点群を分類し、地表点を選び、点の間を埋める。地形画像の全画素へレーザーが届いたという意味ではない。

遮蔽物非地表点を除いた後に残る問題
人別のパルスや別時点が地面を捉えたか
車車体の下に地表点があるか
テント・タープ不透明な面の下へ、別方向などから届いたか
建物広い未観測域を、どんな仮定で埋めたか

これは計測原理からの整理で、各対象の分類性能を実測した比較ではない。森林では葉や枝の隙間を通った光が地面へ届くことがあるが、連続した不透明な面は同じようには扱えない。複数returnへの対応も、見えない地面を必ず見えるようにする仕組みではない。USGS取得要件と、密な植生で地表点が不足し得るNOAAの説明を合わせて読みたい。

穴を二倍にすると、何が変わる?

ここからは補間の性質を考える数学的な例。地形の断面を z(x)z(x) mとし、観測された両端の間、長さ LL mが完全に欠けているとする。両端を結ぶ直線を z^(x)\hat z(x) とする。

区間内で地形が二回微分可能で、曲率に相当する ∣z′′(x)∣|z''(x)| が MM 以下なら、線形補間の誤差は、

∣z(x)−z^(x)∣≤M2x(L−x)≤ML28|z(x)-\hat z(x)| \le\frac{M}{2}x(L-x) \le\frac{ML^2}{8}

で抑えられる。xx は区間左端からの距離m、MM は1/m。右辺はmとなる。端点の測定誤差と分類誤りは、ここでは省いている。

同じ MM なら、穴の幅が二倍になると最大誤差の上限は四倍になる。例えば仮の M=0.02M=0.02/mなら、L=2L=2mで1cm、L=10L=10mで25cmだ。現実のDEMの精度を示す数値ではない。

しかも重要なのは、MM 自体が分からない場合だ。平らな端点の間に、完全に隠れた盛土があっても、端点だけからその高さを決められない。滑らかな絵を作れることと、隠れた起伏を識別できることは別になる。

木の隙間と屋根の下は、欠け方が違う

地表へ届く点が平面上で一様なポアソン過程に従うと仮定する。点密度を ρ\rho 点/m²、対象面積を AA m²とすると、地表点がゼロになる確率は、

P(N=0)=e−ρAP(N=0)=e^{-\rho A}

だ。ρA\rho A は無次元。同じモデルなら、点密度を増やすことで空白確率は下がる。

ただし、屋根が完全に遮っている領域は、一様なランダム欠測ではない。そこでは地表への実効密度がゼロのままなので、同じ視線で屋根の点だけ増やしても解決しない。

データ分析の欠測補完に似ている。周りと同じ傾向だと仮定して埋めることはできる。でも、欠けた理由と、そこで知りたい形が関係しているなら、補完結果を観測と同じようには読めない。

古墳を見つけた後に、地面へ戻る

新潟大学の2026年の発表では、2024年度のUAV-LiDAR測量で鍵穴状の盛土地形を見つけ、地上レーザー測量と発掘を経て椿沢古墳と判断している。全長は約38mとされる。

こちらはUAVによる調査だ。最初に気になった衛星の話とは分けて、地面をどう捉えるかの具体例として見てみたい。

また、現在の建物を消しても、造成で地面自体が変わっていれば、都市化以前の地形には戻らない。遮蔽物を除くことと、時間を巻き戻すことも違う。

DEMと一緒に、穴の地図を持ちたい

次に試すなら、十分な地表点がある領域を正解側として、一部を人工的に隠し、穴の幅、地形の曲がり方、補間方法ごとの誤差を比べる。ランダムに点を抜く場合と、屋根のように連続領域を抜く場合を分ける。

分類済み点群を使うなら、補間誤差と分類誤りは別に検証する。完成DEMへ地表点密度や最近傍点までの距離を添えれば、「どこをもう一度測るか」の判断にも使えるかもしれない。

この実験はまだしていない。今の気づきは、見事に物体が消えた地形ほど、何を測り、何を仮定して埋めたのかも一緒に見たくなる、ということだ。

Sources

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