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思いついた瞬間に、考え切らなくていい
疑問を捕まえる時間と、後で考える時間を分ける。待ち行列と復元確率のモデルから、メモの長さと見返す間隔を考える。
街を歩いていて何かが気になる。その場でAIに聞けば、たぶんすぐに話は広がる。でも、その間は街ではなく画面を見ている。これ、調べ物としては成功していても、散歩としてはどうなんだろう。
そこで考えているのが、疑問を捕まえるCaptureと、後で展開するThinkを別の工程にする方法だ。台湾旅行で試したいのは、きれいな記録術というより、好奇心を途中で落とさずに歩き続ける仕組みである。
保存しただけでは、後で考えることにならない
GTDの公式説明にもCaptureとClarifyという別工程がある。集めることと、その意味や扱いを決めることを分ける先行例として参考になる。ただ、今回残したいのはタスクだけではなく、まだ何になるか分からない疑問だ。
たとえば「車輪」とだけ書いても、翌日の自分は何に引っ掛かったのか分からないかもしれない。「台車の一輪だけ逆向き。押す向きで変わる?」なら、考え直す入口が残る。これは記録の例で、実際の観察ログではない。
メモの量より、未来の自分が疑問を復元できるかが大事そうだ。そう考えると、Captureは保存処理だけでなく、後で展開するための圧縮にも見えてくる。
問いにも、待ち行列ができる
ここからは、この運用を考えるための独自モデルを置く。一日に捕まえる問いを平均 件、考え直せる問いを平均 件とし、どちらも一定と仮定する。未処理の問いが十分にある間は、滞留件数 の増え方は概算で、
となる。 は日、 は件/日。空のときには処理できないので、 はゼロ未満にはしない。これだけでも、記録が速くなるほど運用がよくなるとは限らないと分かる。Thinkの能力を変えずにCaptureだけ増やすと、棚が膨らむ。
ただし、これはサーバーのジョブとは違う。問いは必ず全部処理する必要がないし、寝かせたことで別の本とつながることもある。滞留はすべて障害、というアナロジーにはしない。
一分のメモを、どこまで短くするか
記録にかける時間を 分、そのメモから後で疑問を復元できる確率を 、考え直すまでの時間を 日とする。「関心が残る割合」を仮に と置く。 は1/日で、実測していない減衰係数だ。
一日の記録予算を 分として、それを使い切るだけの疑問が生まれるなら、復元できる問いの期待件数は、
になる。関心が時間とともに育つ場合は、この減衰仮定自体が合わない。
待ち時間を固定すると、記録時間を延ばす価値があるのは、
の領域だ。記録時間を1%増やしたとき、復元確率が1%より大きく改善するなら、件数を減らしてでも詳しく書く意味がある。逆なら、短く切り上げるほうがこの指標には有利になる。
ここで欲しかったのは、万人に共通する「一件一分」という答えではない。短すぎて何も戻せないメモと、詳しすぎて散歩を止めるメモの境界だ。
明日の自分を、読み手にしてみる
試すなら、短文、写真+一言、音声で記録し、翌日と数日後に見返す。記録時間、元の疑問を復元できたか、再び考えたいかを別々に残す。意味が分からないのと、意味は分かるがもう興味がないのは、違う失敗だからだ。
さらに、同じ種類の疑問が一週間後にむしろ面白くなっているなら、単純な減衰モデルは捨てる。必要なのは即日処理率の最大化ではなく、問いの種類に応じた戻り方かもしれない。
まだこの比較実験はしていない。ただ、「とにかく残そう」からは一歩進んだ。未来の自分が続きを始められる最小限を、街で捕まえておきたい。
Sources
- David Allen Company, What is GTD?。確認日:2026-09-16 JST。工程を分ける先行例として参照。
- このノートの実験条件と評価項目は筆者の提案。効果は未検証。
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